2010年10月アーカイブ

不動産の相続登記は、所有者が亡くなったら絶対にしなければならないものではありませんが・・・

 

相続に伴う手続きは、確かに時間や手間がかかり、なかなか進まない作業です。特に、不動産の相続は相続人と話し合い、登記の手続きも必要です。

しかし、その間に亡くなる親族が出てしまうと、話し合いをすべき相続人がさらに増えて遺産分割協議が難しくなります。登記のために揃える書類も倍以上となり、時間も費用もどんどん大きくなってしまいますのでご注意ください。

死後事務委任契約は、その性格上、親族以外の第三者と契約することが多くなります。したがって、契約する際には納得できるまで話し合い、必ず疑問点は解消しておかなければなりません。この契約が実行される時点では、あなたはすでにこの世にいないので、別の形で実行をチェックする必要があります。

 

そこで・・・

1 なるべく公正証書で契約する!

2 契約の内容として「仕事が終わったら相続人または遺言執行者または相続財

  産管理人報告しなければならない」という一文を入れる!

・・・以上の2点だけは、ご注意ください。

死後事務委任契約を結ぶと、頼まれた人はどんな事をやってくれるのか?

 

例えば・・・

1 親族や関係者への連絡

2 医療費の支払い

3 老人ホームなどの精算手続き

4 お通夜、告別式、火葬、納骨などの手続きや支払い

5 お寺との打ち合わせ、墓石の手配

6 永代供養の手続き

7 家財道具や生活用品の整理

8 役所への届け出

  ・・・などなど

 

これらの中から、やってもらいたいことだけを契約します。

お葬式やお墓のこと

死後事務委任契約

 

あなたが亡くなった後、葬儀やお墓についての希望はどうすれば確実にかなうのでしょうか?遺言書に書いておけばよいのでしょうか?

 

遺言書には、財産以外のことも書くことはできます。つまり「お葬式はこうしてほしい」「お墓は〇〇にしてほしい」という希望は書くことができます。

しかし、これらの希望は、遺言を見た人が尊重することは自由ですが、法的な義務があるわけではありません。したがって、「思いはわかるけど現実的に無理だな?」となればせっかく遺言に書いても実現されませんし、責任をとらせることもできません。

 

そのとき、遺言書は別に、誰かと「死後事務委任契約」を結んでおけば、頼まれた人はその内容を実行する法的な義務を負います。

これまで、あなたの生前の権利や尊厳を守る方法をご紹介してきました。

 

今回から、あなたが亡くなった後、あなたの思いや尊厳を守る方法をご紹介します。

・遺言

・死後事務委任契約

 

本当に簡単に言ってしまえば、「遺言」は財産のこと、「死後事務委任契約」はお葬式やお墓のことです。次回以降詳しく説明します。

医療関係者に対する免責

 

お医者さんなどが、ご本人の意思を尊重して延命措置を行わず尊厳死を実現するためには、その刑事責任や民事責任に問われないようにしなければなりません。

 

例)私のこの宣言による要望を忠実に果たして下さる方々に深く感謝申し上げます。そし

  て、その方々が私の要望に従ってされた行為の一切の責任は、私自身にあります。

  警察、検察の関係者におかれましては、私の家族や医師が私の意思に沿った行動を

  とったことにより、これらの者を犯罪捜査や訴追の対象とすることのないよう特にお願

  いします。

 

宣言書の効力

 

宣言書は、自分が心も体も健康な時に書かれ、自分が破棄や撤回をしない限り効力があることを明示します。

 

例)この宣言は、私の精神が健全な状態にあるときにしたものです。したがって、私の精

  神が健全な状態にあるときに私自身が破棄するか、または撤回しない限り、その効力

  を有します。

尊厳死を選ぶ理由

 

例えば、「昔、親族が延命措置を受けたが、あまりにも苛酷に見えてしまった。」とか、「医療費がどんどん高くなっている」など、自分の体験などから具体的に書けば、家族や医療関係者への説得力が増します。

 

家族の同意

 

仮に宣言書があっても、いざというとき家族が延命措置を強く希望すると、お医者さんはとても迷うことになります。できれば、家族の同意をもらい、宣言書の作成にも立ち会っていただいた上で、文書に家族の同意と立ち合いがあったことを記載しておくことです。

 尊厳死の希望の意思表明

  例) 私〇〇〇〇は、私の傷病が不治であり、かつ、死期が迫っている場合に備えて、

     私の家族及び私の医療に携わっている方々に以下の要望を宣言します。

     1 私の傷病が現在の医学では不治の状態に陥り、すでに死期が迫っていると

       担当医を含む2名以上の医師により診断された場合には、死期を延ばすため

       だけの延命措置は一切行わないでください。

     2 しかし、私の苦痛を和らげる処置は最大限に実施してください。そのために、

       麻薬などの副作用により、死亡時期が早まったとしても構いません。

なるべく公正証書で作ること!

「尊厳死宣言書」の作り方は、自由です。終末期医療について自分の希望を書き、家族などに預けておきます。しかし、遺言と同じで自分で書いたものは、本当にご本人の意思なのかという問題でトラブルになりやすいものです。なるべく公正証書で作りましょう。

 

尊厳死宣言書に書く内容

公正証書で尊厳死宣言書を作る場合、通常は次のような内容になります。

1 尊厳死の希望の意思表明

2 尊厳死を希望する理由

3 家族の同意

4 医療関係者の免責

5 宣言書の効力

次回、それぞれの具体的な内容を説明します。

尊厳死宣言書

あなたが事故や病気で回復の見込みがない脳死状態になったら、どうしてほしいですか?

 

もし、あなたが緩和措置以外は行わず、自然な死を迎えたいと願うならば、事前にその意思を文書で残しておく必要があります。脳死状態では、あなたは話すこともできず、家族や医師は迷うことになり、結果としてあなたの本当の希望はかなえられなくなります。

 

「尊厳死」とは、延命措置を控えたり止めたりして自然な死を迎えることをいいます。日本では「尊厳死」に関する法律がないため、文書があっても確実に実現される保証はありませんが、医療関係者にはかなり浸透しており、9割以上が「尊厳死」を認めています。

 

「尊厳死宣言書」は、脳死状態(回復の見込みがなく延命措置をしても死期を引き延ばすだけという場合)になったとき、延命措置をしないように希望する文書で、通常は公正証書で作成します。

 

また、日本尊厳死協会の「リビング・ウィル」は、植物状態(自力呼吸ができる状態が数カ月続く場合)でも生命維持装置をはずすことを求める文書です。