2011年6月アーカイブ

「自分が亡くなったら、こんなお葬式にしたい。また、こんなふうに埋葬してほしい」

このような希望も遺言書に書くことができます。ただし、葬儀やお墓のことは遺言書に書いても、法律上の拘束力はありませんので、実際にあなたの葬儀を行う遺族が決めることになります。

それでも、現実には多くの場合、遺言書に書かれた希望がかなえられている思われます。葬儀やお墓のことは、法的な拘束力がないだけに、財産に関することと違ってその文章は比較的自由に表現することができます。むずかしい法律用語を並べる必要もなく、自分の言葉で書けるため、遺族が受ける印象もより強くなるからではないかと思います。

 

ご注意

遺言書に葬儀やお墓のことを書いていても、死後すぐに遺言書が見つからなければ、あなたの希望を知らないうちに葬儀が終わってしまう可能性があります。遺言書の存在は、信頼できる方に知らせておかなければなりません

さらに、自筆証書遺言を封印して保管していると、裁判所での検認手続が必要なので、時間がかかります。自筆証書遺言を封印する場合は、葬儀やお墓のことを書いた遺言書を別に作り、封印せずに保管する方法もあります。

なお、葬儀やお墓のことを法的にも確実に実行してもらいたい場合は死後事務の委任契約」を利用して、信頼できる人にあらかじめ依頼しておくと安心です。

 

 

ペットも自分の家族です。しかし、残念ながら法律ではペットに自分の財産を直接相続させることはできません。

そこで、家族・友人などにペットの世話をしてもらう代わりに、財産を遺贈したり、死因贈与の契約を結んだり、信託を利用することによって、自分が亡くなった後ペットの世話をしてもらうという方法が採られます。

 

負担付贈与

遺言書によって、財産を友人などに遺贈するとともに、ペットの世話をしてもらう方法です。ただし、遺贈を受ける人(受遺者)は遺贈を放棄することもできますので、信頼できる人に事前に頼んでおく必要があります。また、受遺者には遺贈された財産の価値を超えるほどの負担を負う責任はありません。したがって、世話をするのに十分な財産を遺贈することが必要となります。

 

負担付死因贈与

遺言書ではなく、契約書によって、自分が亡くなったら財産を贈与する代わりに、ペットの世話をするという契約を結んでおく方法もあります。遺言書は、遺言を遺す方の一方的なものですが、負担付死因贈与はあくまで契約ですので、必ず事前の話し合いや合意が必要となります。したがって、より確実に実行されることになります。

 

信託

平成19年施行の改正信託法により、ペットの飼育を目的とする信託ができるようになりました。このことによって、信託を受けた人は、ペットの飼育のために必要な費用を、信託財産の中から支出することも可能となりました。

・相続人がいない

・相続人はいるが、財産をあげたくない

・相続人は複数いるが、モメてしまいそうで心配

・その他にも財産をあげる相手はいない

 

このような悩みを持つ方のご相談が増えています。しかし、その多くが自分も高齢になったので、きちんとしておかなければ・・という義務感から生じていることも少なくありません。

私たちは、よく第一段階のアドバイスとして、「無理に財産を残さず、ご自分で使っていただけませんか?」とお聞きしています。皆さんの財産は、ご先祖様から引き継いだものもあるとは思いますが、激動の時代の中で、苦労を重ねて築いてきたものも多いと思います。

そのことを本当に理解して引き継いでいただかなければ、せっかく相続させても活きた財産にはならないでしょう。ましてや、財産を残したがゆえに子孫たちがケンカを始めるなどというのは本末転倒の極みといえます。

 

本当の理解者がいないのであれば、いっそのことご自身で使い切るか、どこか意味のある団体などに寄付されてもよいと思います。

 

慈善団体などに寄付する場合は、遺言書を書いておく必要があります。ただし、慈善団体によっては、「不動産はお受けできません」などの制約があることもありますので、あらかじめ確認しておく必要もあります。

例えば、事業をしている人が亡くなると、その事業用の財産もなくなった方の名義であれば、原則として法定相続分にしたがって分割されることになります。しかし、これでは後継者に事業用の財産を相続させることができなくなるため、事業が成り立ちません。

また、同居している長男に自宅を相続させたいという場合や、代々引き継いできた畑や山などの不動産は長男に相続させなければという場合にも、遺言書は有効な手段となります。

たとえば「遺産はすべて妻に相続させたい」「不動産はすべて長男に相続させたい」「老後の面倒を見てくれた子どもに多くを相続させたい」など、多くの方が漠然とした希望を持っています。

しかし、遺言書がなく、話し合いもまとまらなければ、法定相続分を前提とした遺産分割が行われ、亡くなった方の希望はかなえられません。

 

遺言は、誰に止められることもなく、ご自身のお気持ちと行動だけで遺すことができます。誰に迷惑をかけるわけでもなく、自分が多少面倒なだけなのです。もし、法定相続とは違う分け方を希望されるのであれば、自筆による遺言でもよいので、できるだけ早めに一度書いてみてください。一度書いてみると、様々な課題や考えが思いつようになります。それらを検討して最終的に公正証書遺言にすることが理想的です。

もし、あなたが内縁の妻配偶者の連れ子長男の嫁世話をしてくれた友人などに、自分の財産をあげたいと思うのであれば、遺言書が必要です。

遺言書がなかった場合は、財産は法定相続人によって相続されることになります。

また、ご自分の子どもがいても父母や兄弟に遺産をあげたい場合や、子どもが存命でも孫に遺産をあげたい場合など、先順位の相続人がいる場合の後順位の相続人に相続させたい場合にも遺言書が必要となります。

あなたは「遺言」にどのようなイメージを持っていますか?

 

このような問い掛けには、大きく分けると二つの答えが返ってきます。

一つは、財産のない自分には関係のないものという答え。もう一つは財産の多少に関わらず真剣に考えなければならないものという答え。

 

実は、私たちから見ますと、いずれにも問題があります。

まず、相続の争いに財産の大きさは関係ありません。たとえわずかな財産であっても、家族間の争いが起きることは珍しくありません。あなたを含めた家族間の人間関係が相続をきっかけに顕在化することも多いからです。極端な話、子どもの時のちょっとした不公平感を持ち出されることすらあるのです。

一方で、「遺言を書かなければならない」という一種の義務感に追われている方もいます。確かに遺言をよく吟味して遺しておくことは大切ですが、考えすぎて眠れなくなったり、家族の心理を変に探りすぎて体調を崩すようでは本末転倒です。義務感に追われている方は、自分のためではなく、自分以外の誰かのために書こうとしすぎているのです

 

遺言は法律的にも本質的にも、自分以外の誰かの意思を介入させるべきものではありません。あなたが、今後もあなたが安心して生きていくための道具なのです。自分の死後、家族にはこうあってほしいという漠然とした願いがあるのであれば、素直にそのことを伝えるべきです。遺言は財産のことに限らず、あなたの想いを伝える道具になりえます。

 

さらに理想をいえば、あなたが家族に想いを話し、家族が受け止めてくれたと実感できれば遺言はいりません。ただ、家族といえどもその人生観や哲学観が一致することは少ないので、次善の手段として法律に裏付けられた遺言を使い、安心を得ることになります。

外国に関係する遺言はどうなるか?

 

1 外国人の遺言

2 外国に住む日本人の遺言

3 遺言に書かれている財産が外国にある

 

このような遺言については、遺言をした当時の遺言者の本国法によって、その成立や効力を判断することになっています。また、遺言の取消については、取消時の遺言者の本国法が適用されます。

ただし、「法の適用に関する通則法」が定めているのは、意思表示としての遺言の問題だけなので、遺言に基づく遺言者の個々の具体的な行為は、その行為ごとに定められている準拠法によることになります。

 

もっとも、遺言を書くときにいちいち適用される法律を調べてから書く人は少ないと思います。すると、遺言者が考えていた準拠法ではない法律で判断され、遺言が無効となることもあります。そこで、「遺言の方式の準拠法に関する法律」によって、どの法律が適用できるかの選択の可能性を広げ、遺言がなるべく無効とならないような工夫もされています。

どの国の法律が適用されるのか?

国際的な相続が生じた場合は、被相続人の本国法が適用されます。したがって、相続の開始原因、相続人の地位に関すること、寄与分や遺留分などあらゆる問題について、原則として被相続人の本国法に準拠して解決していくことになります。

 

在日外国人の遺産について、日本の裁判所で相続手続きが行われていても、被相続人の本国法に基づき処理されます。

また、日本人の在外資産が相続される場合は、日本の法律が適用されます。ただし、遺産がアメリカ合衆国にある不動産であるときは、ほとんどの州でその所在地の法律に従う原則があるため、多くの場合その州法で処理されることになります。

裁判手続きはどこで行うか?

国際的な相続における裁判管轄は、原則として被相続人が亡くなった時の住所を有する国となります。ただし、例外的にその遺産がある国となることもあります。

通常、相続財産の多くは被相続人が生活の拠点としていた住所にあると考えるのが常識的です。また、このことに伴い、証拠資料も同じ場所にあることが多いと考えられます。したがって、原則として被相続人の住所地が管轄権を持つことになります。

しかし、個々の事情によっては、遺産のある場所の裁判所が管轄したほうが、妥当・適正であることもありますので、例外として遺産所在地が管轄することもあります。

 

したがって、日本において裁判手続きを行うためには、裁判所に被相続人の最後の住所が日本にあったことを証明しなければなりません。もし、住所地が海外であってもなお、日本での裁判手続きを望むのであれば、遺産が日本にあって、かつ、日本で裁判手続きをすることが妥当であることを証明する必要があります。

近年は、日本で資産を形成される外国籍の方海外に資産を所有される日本人も珍しくなくなりました。もし、こうした方々が亡くなると、当然に相続が発生しますが、どこの国の法律でどのように遺産を分割するのかが問題となります。

次回以降で、裁判管轄、準拠法、遺言などについてお知らせします。

代償分割における注意点

代償分割の場合、代償金が実勢価格で評価されると、結果として相続財産はより高額に評価されるため税務上は不利になることもあります。そこで、国税庁は通達によって、相続税の総額計算の基礎となる相続税額まで圧縮できるようにしています。

 

換価分割における注意点

上記と似た考え方ですが、相続税は換価によってそれぞれの相続人が得た売却代金に課税されるのではなく、その財産の相続開始時の相続税評価額に課税されます。

 

再分割における注意点

相続人などの合意によって相続財産が再分割された場合、税務上、その合意は遺産分割の一部とはされません。再分割の時点で新しい財産の移転があったとみなされ、「贈与」と認定されます。

また、最初の遺産分割が無効とされた結果、再分割が行われても、遺産分割協議の無効確認の訴えや再分割の調停・審判など、裁判手続きを経たものでないと、やはり「贈与」と認定されてしまいます。