尊厳死宣言書とは?4

家族にどんな負担がかかるのか?

 

 多くの人がある程度の年齢になると、自分が死ぬときのことを考えます。自分の終末期について、希望などを家族に話しておく人も少なくありません。

 

 ご本人にとっては、とても大切な話なのですが、やっぱり縁起はよくないことなので、聞かされた家族は「そんなこと言わないでよ?」と冗談交じりの返事をして、それ以上この話を長引かせたくないという雰囲気になります。

 ご本人からすると、ちゃんと理解してくれたのか少し不安が残りますが、これ以上雰囲気も悪くしたくないので、「とりあえずは家族に伝えたんだから・・」と自分を納得させます。

 

 そのまま時間は過ぎ、ついにその時が来るのです。突然の病気で倒れたご本人は、すでに意思表示もできません。家族がお医者さんに呼ばれて説明を受けたうえで、選択を迫られます。

 「命を救うには、いくつかの方法がありますが、どの方法も救える可能性はゼロではありませんが、残念ながら極めて低いと思います。しかし、人工呼吸器をつけて繋ぎ止め、状態が好転するなら手術も可能かもしれません・・・もちろん、人工呼吸器をつけても状態が好転する可能性も極めて低いのですが、私どもから見ると、この方針が最善と思われます。こうした方針でよろしいですか?」

 人工呼吸器をつけるか否かは、至急の判断のため家族にはゆっくり考える時間がありません。それに、多くの家族は初めて会ったお医者さんに、提案された方針に従うとどうなるのか、本当に家族が望む形に戻れるのか、細かいことまでちゃんと聞けないことも多いのです。(もちろん、お医者さんにはちゃんと聞けば、ちゃんと教えてはくれます)

 

 家族「本人は、延命措置はやめてほしいと言っていました。」

 医師「そうですか・・それでは、人工呼吸器もやめておきますか?」

 家族「人工呼吸器をつけても可能性はないんですよね・・」

 医師「ご本人の年齢や体力も考えると極めて低いということは間違いないと思います。

     しかし、可能性がないとは申し上げられません。私たちとしては、最期まで最善

     を尽くしたいと考えています。あとは、ご家族のご判断によります。」

 

 お医者さんにかつてご本人が家族に言った言葉を伝えても、結局は家族が判断せざるを得なくなります。

 

 お医者さんは、できるかぎりの手を尽くそうと提案します。それが、医師の役割だからです。

 お医者さんの話を聞いた家族は、「本人は延命措置はやめてほしいと言ってたし、私だって本人の気持ちには沿いたい・・でも、あの言葉は本心だったのか・・それに、他の家族はどう思うんだろう・・」と悩むことになります。

 ご本人の想い、お医者さんのアドバイス、それを聞いた家族の気持ちや他の家族の感情まで考えて判断しなければなりません。

 かつて、ご本人はこのような事態を想定できないまま、ただ「延命措置はやめてほしい」とだけ家族に伝えました。しかし、そのことがかえって家族に極めて大きな葛藤を与えることになるのです。

 

 医療の選択、まして生死に関わる医療の選択はやはりご本人がすべきものです。もちろんその時点でご本人が意思表示できれば問題はないのですが、それが望めない事態のほうが多いのです。

 せめて文書でご本人の意思を残しておいてくれたら、家族はそれを渡すだけの役割しかありません。さらに、文書を渡すだけなら、家族でなくてもできることなのです。いずれにしても、文書を通じてあくまでご本人とお医者さんが決めることになります。

 

 もし、尊厳死の希望を叶えたいのであれば、絶対に中途半端な方法をとってはいけません。どんなに面倒でも、何らかの文書を残しておかなければ、家族の負担は大きく深いものになってしまいます。

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